グローバル化したK-POPの文化的価値とは何か?

セブンティーンK-POPニュース

2020年2月7日付MEDIAUS掲載のTWICE関連ニュース翻訳。

東アジアの外交とK-POP産業の相関関係

MEDIAUS

国際外交情勢は韓国エンターテインメント産業に大きな影響を与える。

韓国文化産業の主要キーワードは韓流、K-POPのグローバル化

K-POPが「アメリカに進出した」「ヨーロッパツアーを開催した」と言っても欧米は遠過ぎる市場、大規模ツアーを定期的に開催出来るごく一部のグループを除くと収益性は不透明だ。

アジアよりファンが少ない上に、長距離移動のための経費と時間が収益性を損ねる。

結局大きな収益が上がるのは韓国と隣接した東アジア。この十年、北東アジア外交情勢は浮き沈みの連続で、海外のK-POP産業も風浪にさらされた。

日本は世界第2位の音楽市場であり、公演文化が活性化した韓国と最も近い国、K-POPの最も重要な市場も日本だ。

K-POPの日本進出全盛期は、いわゆる韓流ブーム第2世代の2010年代前半だった。

当時の韓流は世代と階層を超えた大衆文化だった。

2010年オリコン年間ランキングで東方神起が記録した売上額は94億円、日本で活動する全アーティスト中2位だった。

今もこの記録はK-POPアーティストの最高記録として残っている。

2011年日本の地上波放送局TV東京はKARAを主人公にした12部作ドラマ”URAKARA”を放送した。

2011年日本でのK-POPの売上額は2880億ウォンに達した。

しかし2012年李明博大統領(当時)がレームダック打破のため竹島(韓国呼称 独島)を訪問、良き時代が終わった。

日本の野田佳彦首相は遺憾の意を表明、「外務大臣がKARAのCDを捨てた」というニュースまで伝わった。

真偽のほどは定かではないが考えてみると非常に面白いシチュエーションだ。一国の大臣が韓国ガールズグループのCDを所有するほど韓流に大衆性があった事を意味する。

韓流は普遍的階層に基盤を置いた文化だったため韓国に対する世論が悪化すると、その直撃弾をまともに受けた。

韓流ブームの復活を先導したTWICE

それから数年間沈滞期が続いたが、2015年デビューしたTWICEが韓流の復活を先導した。

3人の日本人メンバーを加えたことが高い進入障壁を打破した要因ではあるが、安倍首相と朴槿恵大統領が慰安婦問題で合意するなど日韓の緊張が和らいだ時期でもあった。

TWICE ミュージックステーション初出演

日本最高の音楽番組”ミュージックステーション”は2012年以降韓国アーティストの出演が激減し、2012年以降デビューしたアーティストのの中で2017年6月のTWICEが初めての同番組出演だった。

文在寅大統領就任以降、日韓関係は再び悪化した。

韓国政府は朴槿恵大統領が結んだ慰安婦合意を破棄、日本は韓国に対し経済報復措置をとった。

2018年11月、韓国最高裁が日本企業に徴用工への賠償を命ずる判決を下すと日本政府は駐韓大使を召還した。

このように日韓の葛藤が高まる中で発生したのが防弾少年団のミュージックステーション出演中止事件だった。

原爆Tシャツ問題だけでなく、悪化する外交関係が影響した。

特記すべきはミュージックステーション出演中止後、防弾少年団の日本ツアーは成功裏に幕を閉じたという点だ。

これは第2世代韓流と現在のK-POP市場の性質の差による。

以前の韓流は大衆文化だったが、現在の韓流は若い日本女性のヒップスター文化、あるいはサブカルチャーに近い。反韓世論の影響が届かない場所にある。

以前より範囲は狭まったが、しっかりと根付いた。

日韓関係の悪化が最高潮に達した昨年夏、日本政府が輸出規制措置を取り、韓国では三菱など日本企業から押収した資産の現金化手続きが始まったが、IZ*ONEは日本の公共放送NHKに立て続けて出演した。

2018年のK-POPの対日売上は韓流第2世代の記録を超える2980億ウォンに達し、2019年も防弾少年団、IZ*ONE、TWICE、SEVENTEENがコンサートツアーを開催した。

中国は日本に劣らず外交情勢の影響が大きい国だ。

2016年台湾旗をめぐる騒動でTWICEツウィは中国と台湾の根深い軋轢の犠牲になった

朴槿恵政権時代はTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備問題で、中国は韓国に対しいわゆる限韓令を下し韓国の芸能事務所の中国事業を規制した。

それ以降、K-POPアイドルは中国で活動まともに活動できない状況が続いている。

ローカライズで生き残りを図るK-POP

だからと言って韓流ブームが終わったわけではない。

芸能事務所は中国企業と共同して、ローカライズしたアイドルグループを作るなどのう回路を探った。

BOY STORY Too Busy 

JYPエンターテインメントの中国法人JYP CHINAは2016年中国の音楽配信企業テンセントミュージックと共同でメンバー全員が中国人のボーイズグループ”BOY STORY”を作り、SMエンターテインメントは中国企業の共同レーベル”LABEL V”で中国人、台湾人、タイ人構成のボーイズグループ”Way V”をデビューさせた。

それとは逆に中国のエンターテインメント企業YUEHUAは韓国に法人を設立、韓国で活動するK-POPグループを作った。

依然としてK-POPグループの中国人メンバー起用が続いている。

K-POPアイドルグループの韓国発売アルバムの海外売上が伸びているが、なかでも中国の割合が大きくさらに増え続けている。

K-POPは単純なグローバリゼーションではなく、国境を越えた融合が必要になる。

例えば東アジア市場では長期間に渡るグローバリゼーションを経て、世界化と現地化が同時進行するグローカリゼーションへの移行が続いている。

東アジアの外交情勢が不安定なため、ローカライズしたグループを作ることで収益経路を確保し、また現地で幅広い層にアピールできるという長所もある。

日韓外交問題で両国の国民感情は悪化した。さらに新型コロナウィルスの流行で中国との人的往来は激減、韓国としては中国に対する不信感と敵対感情が高まっている。

グローバル化したK-POPの文化的価値

日本は韓国文化を制限しないだろうし、新型コロナウィルスの流行もいつかは終わる。

K-POPグローバリゼーションの文化的価値はどこにあるのか。

数字に表れる輸出額や国威発揚ではなく、外交関係に影響されない人と人、文化と文化を繋げる役割に価値があるのではないか。

日本のK-POPファンは韓国に対して非常に好意的な態度を見せている。

韓国がその好意に応えるようとするのなら、アイドルグループ以外の難しい問題に関しても対話の障壁を低めるべきではないのか。

グローバル化したK-POPを韓国が持つ財産と見た時、それをどのように有益に利用できるのかを再確認するのもいいだろう。

(翻訳終わり)

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