2017年10月23日付NO CUT NEWS掲載のオーディション番組関連ニュースの翻訳
「私たちもWANNA ONEのように」 vs 「芸能界の生態系が崩れる」
今年の下半期の放送業界と音楽業界の話題は断然アイドルサバイバルだ。プロジェクトグループIOIとWANNA ONEが誕生したMnet「PRODUCE 101」シリーズの大ヒットを見た放送局と芸能事務所は慌ただしく動いている。
KBSは10月28日「アイドルリブートプロジェクト:THE UNIT(以下、「THE UNIT」)」を、YGエンターテインメントと組んだJTBCは10月29日「MIX NINE」を初放送する。芸能事務所に所属するデビュー歴のあるアイドルと練習生が出演し競争を繰り広げ、プロジェクトユニットで活動するメンバーを選抜するという点で2つの番組のフォーマットは非常に似ている。
またフォーマットは異なるが、現在MnetでJYPエンターテインメントの新しいボーイズグループ選抜過程を描く「Stray Kids」が放映されており、MBCもアイドルサバイバル番組を企画しているという噂が業界に出回っている。
音楽業界関係者はアイドルサバイバル番組が洪水のようにあふれている流れをどのように見ているのだろうか。電話インタビューで現場の声を聞いてみた。
オーディション番組は新たな機会
アイドルサバイバル番組に自社のアイドルグループを出演させた中小芸能事務所代表A氏は「苦心の末に出演を決定した」と語った。
当社に所属するグループは、すでにデビューして活動を展開しているため非常に悩みました。オーディション番組に出演するとなると、事実上活動は「オールストップ」するしかありません。アルバムの準備だけで少なくとも数ヶ月以上がかかりますから。しかし中小事務所はテレビ番組出演の機会が少なく実力を示せる舞台が限定されている。新しい姿を見せることが出来るだろうと思い出演を決めたのです。
よく「ジャングル」に例えられる音楽業界。数多くのアイドルグループが競争を繰り広げている状況の中、注目されなければ淘汰されるのが現実。特に大手芸能事務所が中心になっている今の放送業界と音楽業界で、中小事務所所属アイドルの出演機会は非常に不足している。これが複数の中小芸能事務所がリスクを甘受して一種の「賭け」に出た理由だ。
憂慮している部分もあります。誰でも最終メンバーに選ばれることを望んでいるがそうなる保証がありません。出演しても話題にもならず、最終メンバーにも選ばれないのなら出演しないほうがマシでしょう。それでも一応出演を決めたので希望を持って見守るしかない。
WANNA ONEが刺激になった
「PRODUCE 101」成功の後KBS、JTBCなど放送局が似たような形式でアイドルサバイバル番組制作に乗り出すというニュースが最初に流れた時、業界関係者の反応は否定的であり懐疑的だった。
「むやみに出演させて「終わったアイドル」扱いされるんじゃないか心配した」。中小芸能事務所マネジメント取締役B氏の言葉だ。ところが徐々に雰囲気が変わり出演を決定する芸能事務所が増えている。「THE UNIT」に参加した芸能事務所は90カ所に達する。
芸能事務所関係者は、多くのオンラインコミュニティをモニタリングしてネット上の雰囲気を調べている。アイドルサバイバル番組の反応が思った以上に「ホット」なんです。そのような反応を見て最初はためらっていた芸能事務所が一つ二つと出演を決め出し、みんながどっと動き出したのです。「終わったアイドルを出演させる番組ではない」という番組制作陣の説得もある程度影響を及ぼした。
実際にサバイバルという容易ではない場所に飛び込まなければならないアイドルの「意思」も影響を与えた。
事務所よりも所属アイドルの方が出演したいという雰囲気です。WANNA ONEのようなグループを見て刺激を受けたようだ。音楽業界の後輩だった、事務所の練習生だった友人が一瞬にしてスターになる様子を見て、一種の虚しさを感じたりもして、このままじっとしていてはダメだという危機意識が生まれた。
このままでは韓国音楽業界の生態系が崩れる
出演を決めた芸能事務所は期待感に満ちている雰囲気だが、このような流れに対する懸念の声も存在する。業界関係者C氏は「巨大放送局と手を組んだ大手芸能事務所が音楽業界全体を牛耳る現象がさらに強くなる」と憂慮した。
出演を決めたグループが苦情を言うことは容易ではないでしょう。しかし実際には強要に近い形で出演するしかないように迫られた側面がある。「我々の放送局の音楽番組に出演しないつもりですか?」式で。結果的に放送局が出演を望んだアイドルは全て出演を決めたと見ていいでしょう。JYPのような大手芸能事務所は「Stray Kids」のように、放送局と組んで独自のリアリティ番組を制作出来ますが、中小芸能事務所はメディアの力を借りることも容易ではなく不利な条件でも出演するしかなかった。他が出演するのに自分だけ出演しないいわけにも行かず・・・。それだけ競争が激しく切実な状況です。放送局はその切実さを利用するでしょう。
放送局はアイドルサバイバル番組を制作するだけにとどまらず、特定の芸能事務所と番組を通じて誕生したチームのマネジメント権限を一時的に独占して収益を得ようとしている。一部ではこのようなシステムが固定化されると「不公正な構造が拡大し音楽産業の萎縮をもたらすだろう」と指摘する。
流通業界に例えると、大手スーパーが小規模生産者に「商品を持って来い」式です。商品を持って行っても、売れたお金は大手スーパーに入る仕組みです。その過程で得をする芸能事務所もあるだろうが広く長い目で見ればプロジェクトグループを作るというフォーマットのアイドルサバイバル番組が氾濫することは絶対に良い現象ではない。
韓国の反応
第2のWANNA ONEを夢見ているのだろうが、WANNA ONEの活動期間は誰がデビューしても失敗するだろう。実力がないからではなく、全ての関心がWANNA ONEに集中して注目を集められずファンダムを育てる時期を逃し、WANNA ONE解散後にデビューする新人に負ける。
アイドルオーディション番組は飽きた。オーディション番組やればWANNA ONEのようになれると思っているのか?PRODUCE 101は番組の力で出演者の人気が出たのではなく、出演者の力で番組が人気になった。
KBSのバラエティー番組はいつもパクリ。パクリばかりしていないで努力しろ
WANNA ONEのファンになって音楽番組を見るようになったけど、初めて見るアイドルグループが大多数だった。こういうグループにチャンスを与える番組が必要。
THE UNITのミュージックビデオを見たけど、RAIN以外はひとりも誰だか分からなかった。マスコミでも一度も見たことのない初めて見る顔だった。でもデビューして1年~7年らしい。こういう番組以外にテレビに出演するチャンスがなかったのだろう。生態系が壊れるというのは大手事務所の言い訳にしか聞こえない。
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